フィールドワーク

 小学校から継続して実施するフィールドワーク(宿泊学習行事)では、実社会とつながる学びとして、自分たちが培ってきた知識・スキルをツールとして、様々な場所で学びを深めます。

 

 フィールドワーク当日の学びももちろん大切ですが、何より大切な事前学習は約1ヶ月以上前からはじまります。現地で充実したフィールドワークができるよう、事前に教室にいながら得ることのできる情報をリサーチし、先行知識として獲得します。テーマに沿って理解を深める中で、もっと知りたいこと、現地でしか手に入れられないことに対する問いを立て、問いにおける自分の答え(仮説)を持って、現地の活動に向かいます。

現地では、主体的・積極的にフィールドワークを行い、夜には宿舎で考察・振り返りを行います。このプロセスを繰り返し、学校に戻った後には、事後学習として、学びを行動に移します。問題解決に向けた行動、対象地域に対する貢献活動を通じて、目指す学習者像に近づくきっかけとなる活動です。

6年生のフィールドワーク

「災害・復興・防災」

 6年生(小6)では、東日本大震災に関連する地域として福島県でフィールドワークを行っています。まず、生徒たち一人ひとりが探究テーマを立てます。各教科でも事前学習として震災を扱いました。たとえば、社会では東日本大震災についての事実確認や地理的観点からハザードマップ作製をしました。フィールドワーク中は、地元鮮魚店の従業員の方に直接インタビューをしたり、さまざまな立場の方から講話を聞いたりして、各自が探究テーマに沿った疑問の答えを探します。

 事後学習として、英語の授業でフィールドワークの振り返りをしたり、総合の時間に震災が起こった場合どのように救助を求めるべきか、また行政の立場からどのように救助すべきかなどいくつかのシミュレーションゲームを通して、さらなる疑問を見つけたりしています。今後関係者とのワークショップやオンラインでのインタビューなどをする計画を立てています。このように、探究サイクルを活かして、教科横断型の学びをしています。

7年生のフィールドワーク

「環境・芸術・まちづくり」

 7年生(中1)では、「環境」「芸術」「まちづくり」というテーマを学ぶために岡山県倉敷市と直島を訪問しました。倉敷市では繊維工業、製鉄業などで発展を遂げていることで有名なだけでなく、公害対策にも積極的に取り組んでいます。また、美観地区など伝統と発展を両立させていることでも知られています。直島は芸術活動を通してまちづくりをしてきた島で、世界中から観光客が集まっています。

 生徒たちは、「技術の進歩は人々の生活を豊かにする」「同じものであっても、背景によって意味合いは変化する」「古さと新しさは共鳴して、固有の価値を創造する」という3つの観点においてそれぞれの班が疑問を出し合い、仮説を立てました。現地では、班ごとに調査・インタビュー活動などを通して検証し、振り返りの時間で結果をまとめました。フィールドワークを通じて団体行動や協働学習、さらにリサーチの手法などを学び、今後の個人探究に応用していきます。

8年生のフィールドワーク

テーマは「多面的な視点から見る社会」

 8年生(中2)は、10月に山梨県でフィールドワークを実施します。今年度は個人探究とも深く関わりを持たせます。生徒たちはSDGsの17の目標の観点から、現在山梨県・茨城県で起こっている社会問題について調査しています。生徒たちのもつ問題意識や関心をもとに実際に訪問する場所を決めていきます。事前学習において、自分たちの問題意識やそれに対する仮説を説明できるようにします。そして現場で得た経験や知識をもとに、問題解決策の糸口を見つけられるような実りある学習にしていきたいと考えています。

9年生のフィールドワーク

テーマは「自己理解」と「社会貢献」

 9年生(中3)では、関西を拠点として、今までのフィールドワークの知識・経験を活かし、自ら見つけ出した課題を主なテーマとして学習活動を行います。その際、10年生で行うPP(パーソナルプロジェクト)を意識しながら、自らのテーマに合った学習協力先を探し、アポイントメントを取り、施設を訪問し自らの課題解決に必要な知識へのアドバイスをもらうことに挑戦します。訪問を検討する先として、将来の進学を考慮した大学あるいは研究室への訪問、公共団体や企業などの研究施設への訪問、職業観を見据えた企業への訪問などへの訪問を目指しています。訪問の際には、自らの疑問あるいは仮説を説明するなど、学外の専門的な方々との直接的な情報交換を通して、学校では行うことのできない新しい学びを獲得することを目指します。

10年生のフィールドワーク

「地域における問題解決・貢献プロジェクト」

生徒自身がテーマを設定

 10年(高1)では、各自でテーマを設定して、首都圏でフィールドワークを行いました。 今までに行ってきた探究活動を専門的視点で更に追究し、自己の探究内容の深化を図ることを目的としています。本校ではパーソナルプロジェクトと関連させてフィールドワークを行います。 また、アポイントメントの取得や当日の訪問を通して、さらなる社会性を身につけることも目的としています。 多くの生徒は、大学や施設、博物館等に訪れて探究活動を行いました。

11年生のフィールドワーク

「海外大学で講義を受け、Personal Project を英語で発表・議論する」

 11年生(高2)はシンガポールにて、班に1名シンガポール国立大学の学生がついて自由行動を行いました。現地の講義では、講師の方からの多くの発問に対して、英語で受け答えする他、議論の時間も多くあったため、生徒たちのコミュニケーション力が増していく実感を得ることができました。

 別日では、10年時に行ったパーソナルプロジェクトを英語発表を行いました。発表を聞いて下さった現地の大学生が生徒一人一人の発表内容に質問したり、今後に向けたアドバイスをくれたりと充実した時間になりました。

 最終日はマレーシアを訪問しました。村の伝統衣装を着たり、模擬結婚式に参加するといった文化交流を行なったり、訪問先の学校で、現地の生徒達と交流しました。短い時間ではありましたが、全員が打ち解けて仲良くなっていく様子が見られました。