そんな時代に、決まりきった画一的な考えを持つことの危うさを強く感じており、子どもたちには、いま自分が置かれている状況や直面している問題について「本当にこれでいいのか」「この方法は正しいのか」「どうあるべきなのか」と批判的思考(クリティカル・シンキング)に基づいて多面的に思考できる人間であってほしいと心から願っています。
もちろんそれは、自分を取り巻く環境面に対してだけではなく、自分自身の「考え」や「行動」などを意識的に振り返り、物事を多面的にそして客観的に見ることが大切です。批判的思考を持つことは、時に何事も他責にしてしまうことにつながりがちですが、「もっとこうしてみよう」と自分が変えられる影響範囲に向けて実際に行動を起こし、自身の行動に根拠を持つことで、周囲の環境や関係を変えていくことができます。そういった人間にこそ、同じ志を持った仲間が集まり、これからの時代を担う人材になっていくのだろうと感じています。
本校で「探究」の授業を受けている子どもたちを見ていると、「本当にそうなのかな」「他のやり方はないのかな」と思考を止めずに考え続ける姿を多く見ることができます。1年生から5年生まで「探究」という教科を学んでいる子どもたちは、疑問を見つける力が非常に高く、私も常に驚かされます。自ら問いを見つけ、探究し続ける12年間を過ごした本校の子どもたちが将来どのような活躍をするのか今から楽しみです。